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写経会【毎月第4土曜日開催】

本当はもっと長い般若心経

 

 お経の中でも最も知られているといっても過言ではない般若心経ですが、もともとはもっと長いお経が元になっているというのをご存じでしょうか?

 

 般若心経は摩訶般若波羅蜜多心経という正式な題目があります。摩訶は「大きい」や「偉大な」という意味を持つ形容詞です。般若は「悟り」や「仏の智慧」を指す言葉です。波羅蜜多は「完成した」とか「完璧な」という意味のある言葉です。「心」は「中心の」や「本質的な要素」を指す言葉です。これらをもとに考えると摩訶般若波羅蜜多心経というのは「大きな悟りの完成に至る中心のお経」というようなニュアンスの意味になります。中心のというのは、要約されたという意味合いを持つとも考えられ、般若心経は大般若経というとても長いお経の、要約されたものであるという説があります。

 

 般若心経のもととなったと考えられる、大般若経をサンスクリット語から漢字に翻訳したのは、西遊記にも出てくる玄奘三蔵(三蔵法師)を中心としたグループであったといわれています。ここには大乗仏教の基礎が書かれており、日本の仏教の教えの核心ともなっています。驚くのはその長さで大般若経は16部・600巻という膨大な量のお経です。600巻と言われてもピンとこないと思いますので般若心経と比較してみます。大般若経は全部で482万693文字で書かれています。般若心経は全部で266文字。一日般若心経と同じ266文字ずつお写経したとすると18123日、約50年ほどかかります・・・。これを本当に写経される方がいるのですから驚きです。*実際には玄奘三蔵が漢訳したお経の集大成で、いくつものお経が合わさって大般若経になっています。

 

 これほど長いお経なので当然この場で内容を解説するのは難しいのですが、後半部分の六波羅蜜について触れたいと思います。

【布施波羅蜜】579-583巻

見返りを求めず施しをすること。

【持戒波羅蜜】584-588巻

自分をコントロールする規範を持つこと。

【忍辱波羅蜜】589巻

堪え忍ぶことで自分が他の存在に支えられていることに気づくこと。

【精進波羅蜜】590巻

限られた人生の中で努力をやめないこと。

【禅定波羅蜜】591-592巻(大般若経では静慮波羅蜜)

冷静に自分自身を見つめること。

【智慧波羅蜜】593-600巻(大般若経では般若波羅蜜)

布施・持戒・忍辱・精進・禅定の修行を実践し仏の教えを完成させること。

 

  何巻にもわたる内容をたった1行で解説するのもおこがましいのですが、ごくごく簡単に言えばこのような感じです。修行するときの段階を示しています。どの内容も頭で理解するのは比較的簡単ですが、実践するのは容易ではありません。しかし、頭で理解して行動に移さないと何の意味もありません。大般若経の長さは、頭でわかった気にならないよう念入りに訴えかけようとしてこれだけの長さになっているのかもしれません。

 

 *玄奘三蔵が大般若経を漢訳する前に、般若心経が漢訳されたという説もあります。

 *鳩摩羅什という方が「摩訶般若経」という経を漢訳しており、

その一部が般若心経になったという説もあります。

 

9月のお写経はお彼岸のお中日となったため、5週目に変更となりました。連絡が行き届かず、ご迷惑をおかけした方におかれましては大変申し訳ありませんでした。

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