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写経会【毎月第4週土曜日開催】

本当の幸せって何?

 

 

 私たち人間は、ほとんどの人ができるだけ幸せになりたい、と思っているはずです。でも、よく考えてみたとき、その幸せは、本当は何なのでしょうか?今回はそんな私たちの幸せや、そうでない感情を持つときの心のはたらきについて考えていきたいと思います。

 

 たとえば、くじ引きで3等の景品が当たったとします。おそらく「やった!」という気持になるのではないでしょうか?でも次にくじを引いた人が1等を引いたらどうでしょう・・

多分私だったら、自分が3等に当たった嬉しさよりも、1等が羨ましいなあという気持ちになるような気がします。もし、その人が1等ではなくハズレだったら、そういった気持は生まれてこないと思います。自分は同じ3等が当たっただけなのに、なんだか不思議ですね。

 

 私たちの心のなかに生まれてくる感情というのは、ほとんどの場合、何かと比べてどんなふうに感じるかということが基準になっていることが多いのです。まわりの人と比べたり、自分の過去の経験と比べたりします。なんだ今日のお昼はおにぎり1個か・・と思うかもしれませんが、山登りをして山頂で食べるおにぎり1個は特別な味がするはずです。

 

 海外の戦争地域で生活する人たちのニュースを見ると、いかに自分たちが恵まれているかということに気づかされます。温かいご飯をたべて、温かいお風呂にはいって、きれいな布団で寝ることができる、いつもの生活も考え方によってはすごく幸せな生活なのです。

 

 仏教を開いたお釈迦様は、私たちのものの見方が、まわりの世界や過去と比べてできているのだということに気が付きました。難しいことばでいうと、こういう考え方を相対的な見方といいます。わたしたちは、身の回りに起きる出来事から直接ものごとを受け取っているのではなく、何かと結びつけて考えているのです。

 

 これは、人間がまわりにいる人達の気持を想像したり、過去の出来事を記憶したりすることができる高い知性を持っているからです。たぶん、人間以外の動物は人間ほど、羨ましいと思ったり、悲しいと感じたりすることなく、感じたままのものをそのまま受け取っているような気がします。

 

 お釈迦様は、そういった人間が生活していく中で、ひとりでに作られてしまう幸せの基準のようなものが、私たちがものごとをきちんと捉えることを邪魔しているのではないか、と考えました。

 

 少し見方をかえれば、道ばたにきれいな花が咲いているだけでも、空がきれいなだけでも十分幸せを感じられるのですね。悩み事があるときは多くの場合、その場面にとらわれています。そんなときは、いったん悩みはどこかに置いて、身の回りにある小さな幸せを探してみるといいかもしれません。それは、出来事やものだけではないかもしれません。大切な人が小さな幸せを持ってきてくれることもあります。一旦立ち止まって、まわりを見渡すと意外な幸せが見つかると思います。それが本当の幸せ・・ということになるのかもしれません。