
写経資料
令和7年8月23日
『おばけ』の正体は、あなたの心が知っている?
夜中の物音、部屋の隅に見えた黒い影……。 「もしかして、おばけ?」 そんな風に、ドキッとした経験はありませんか? テレビの心霊番組は怖いけれど、つい見てしまう。でも、おばけや幽霊って、本当にいるのでしょうか。
その答えを探すカギは、意外にも「私たちの心」に隠されています。 少しだけ、心の不思議な働きをのぞいてみましょう。
質問です。「青信号」って、本当に「青色」に見えますか?
「青になったら渡ろうね」と誰もが教わりますが、信号の色をじっと見つめてみてください。「緑に近い青」だと感じる人もいれば、「明るい水色」と感じる人もいるはず。名前は同じ「青信号」でも、一人ひとり見えている「色」は少しずつ違います。
もう一つ、頭の中に「クマ」を思い浮かべてください。
どう猛で「怖い」イメージが浮かびましたか? それとも、ふわふわで「かわいい」キャラクター? もしかしたら、力強くて「かっこいい」と感じる人もいるかもしれません。動物園で本物のクマを見ても、抱く感情は人それぞれです。
心は世界を彩る「アーティスト」
なぜこんなことが起きるのでしょう? 実は、私たちの心は、物事をただカメラのように写しているわけではありません。見たものや聞いたものに、これまでの経験や知識から、無意識のうちに意味を付け加えたり、色を塗ったりしている「アーティスト」のようなものなのです。だから同じ「信号」や「クマ」でも、人によってまったく違う作品に見えるのです。
さて、いよいよ「おばけ」の話へ
この「心というアーティスト」の働きを考えると、おばけの正体が見えてきます。
おばけを見るというのは、「何か」を見たときに、その人の心が「おばけ」という存在を描き足している状態、と考えることもできます。
「なんだ、じゃあおばけはウソなの?」と思うかもしれません。 でも、クマを見て「怖い!」と感じる気持ちは、その人にとっては紛れもない「真実」ですよね。それと同じで、心が描き足した物語も、その人にとっては現実であり、真実なのです。
だから、おばけが「見える」という人の感覚も、「見えない」という人の感覚も、どちらも正しい。あなたが「見えない」からといって、他の人の世界を否定することはできないのです。
もしかしたら、「おばけが見える」というのは、その人の心が豊かで、世界からの目に見えないメッセージをキャッチしようとしているサインなのかもしれません。
そう考えると、もしおばけに出会ってしまっても、「私の心は今、何かを受け取ろうとしているんだ」と思えば、少し怖さが和らぎ、ちょっぴり不思議で素敵な体験に変わるかもしれませんね。
*2021年のリライト記事です。