写経資料10月25日
経師觀行
日本の天台宗の開祖である伝教大師最澄様。伝教大師様は『経師觀行』という短い文章を残しています。この中で、最澄様は写経の功徳について言及されています。
写経がどれほど優れた修行方法であるかが説かれており、この教えを知ることで、今後の写経の修行が更に深いものになるかもしれません。
1. 戒(かい):悪を防ぎ、善を修める
書写の法師が「戒」を修めるのは、その行為自体が身・口・意(身体・言葉・心)の三業を清浄にするから
すごく簡単にすると・・・
「写経していたら悪い行動もしないし、悪い心も起こさない」ということ!
・身業(身体の行い)の清浄
法師は、清らかな場所と座に身を置き、経巻を手にし、経典の文字に集中することで、殺生・盗み・邪淫といった身体による三種の悪業を自然と犯すことがありません。
この行為は、身業の懺悔、三宝への供養、群生への法施となり、万行の源となります。
悪を止める「止」と、善を行う「観」が具わります。
・口業(言葉の行い)の清浄
書写中は口を閉ざし言葉を慎むため、妄語(嘘)や綺語(無益な言葉)などの口業による悪を止めます。
意業(心の行い)の清浄
円教(究極の教え)の正しい理解により、貪り・怒り・愚痴(貪瞋痴)といった心の三毒を離れ、意業も清らかになります。
これにより、心が一つの境地に定まりやすくなります。
2. 定(じょう):心を統一し、静める
書写の法師が「定」を修めるのは、書写という一つの行いに専念するから
すごく簡単にすると・・・
「写経に集中しているということは自分をコントロールできている」ということ!
・一心定の方便
法師は、大乗経典を書写することのみに意識を集中し、他の雑多な行いを考えません。
この一つの行いに全ての修行を摂め入れることが、円教における一心(一つの定まりきった心)による書写行となります。
この禅定によって、法華経の法師功徳品に説かれるように、六根(眼・耳・鼻・舌・身・意)が清らかになるという功徳を得ることができます。
3. 慧(え):真理を悟る智慧
書写の法師が「慧」を修めるのは、究極の真理に基づいた智慧を用いるから
すごく簡単にすると・・・
「その状態を続けることは、それはもう悟りだ」ということ!
・無分別智の運用
法師は常に、執着がなく(無着)、思念がなく(無念)、分別を離れた(無分別)智慧を用います。
これにより、生死(迷いの世界)と涅槃(悟りの世界)は本質的に一つであり(生死即涅槃)、煩悩と悟りも本質的に変わらない(煩悩即菩提)と覚ります。
心の本性は澄み静まり、第六識の思惟や第七識の思量といった心の波が止み、深遠な智慧が顕現します。
